軽石の撤去費16億円超え 沖縄県が試算 漁業・観光の被害含まず


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漂着した大量の軽石=2021年10月29日、国頭村(小型無人機で大城直也撮影)

 小笠原諸島の海底火山噴火の影響による大量の軽石が漂流・漂着している問題で、沖縄県は17日までに、県内の港湾施設などに漂着した軽石の回収や運搬などに要した費用を基に被害額が16億円以上になるとの試算を示した。出漁自粛による漁業被害やマリンレジャーの休業による観光関連などの被害は含めておらず、実質的な被害額はさらに大きくなるとみられる。

 県によると、県や市町村などが4日までに回収した軽石の総量は2万9209立方メートルとなっている。出漁を自粛している漁船は10日時点で186隻に上り、全登録隻数の6・2%に当たる。

 被害総額のうち最も金額が大きかったのは、県土木建築部所管の海岸で実施する回収費用で10億9300万円だった。県は本島北部の海岸漂着量を基に、先島諸島を含めた県内全域の想定回収量を10万2千立方メートルと見積もっており、これに掘削や運搬費などを掛け合わせて想定被害額を算出した。

 農林水産部では、県管理の4漁港と市町村管理の2漁港で災害復旧事業を実施しており、被害額は漁港関連のみで1億924万円と試算した。

 漁業被害については2021年10月と11月の水揚げ量が例年の同時期と比べ290トン少なかったものの、新型コロナウイルスや資源量などの影響を排除することができないことから、「被害額を算定することは困難」だとした。

 漁業者への対応として県は21次補正予算案で漁船約3千隻を対象に1カ月分の燃料代の補助を盛り込んでいる。事業費は1億8千万円。
 (当銘千絵)