ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの不祥事の影響で、全国的に医薬品の流通が滞り、県内の調剤薬局でも、多くの品目で在庫不足が深刻化している。昨年以降、過去にないほど供給が不足し、医薬品卸会社、医師、薬剤師が連携し、治療方針や薬の変更による「綱渡り状態」(薬剤師)で窮状をしのいでいる。普段使っている薬が手に入らないことや、同じ薬効で他の薬への変更をすることで自己負担額が増加する可能性もあり、薬剤師らは、県民に理解と協力を求めている。
沖縄の後発薬の使用割合は2021年10月時点で88・9%に上り、全国で最も高い。厚生労働省によると、メーカーの業務停止処分によって公的医療保険の対象となる医薬品3千品目以上が全国的に品薄状態に陥っている状況だ。
県内の調剤薬局によると、必要な薬を分配するため、メーカーや医薬品卸業者によって、出荷調整となっている品目が多数ある。不足しているのはリウマチの薬やアトピーなどの抗アレルギー薬、血圧を下げる降圧剤など多岐にわたる。県内のある薬剤師は22年1月以降、薬の不足が一層深刻化していると指摘し「種類によっては、入荷が見込めないものもある。危機的な状況だ」と厳しい状況を訴えた。
後発薬の不足によって、先発薬に変わると、患者の自己負担額が高くなる可能性も考えられる。別の薬剤師は「治療に支障が出ないように、メーカーの違う薬や同じ薬効の薬を処方するなど努力している。負担が増えることもあるかもしれないが、状況をぜひ理解してほしい」と呼び掛けた。
(池田哲平)