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多様な性の理解深めて 高校生がイラストに思い込め 沖縄県の啓発冊子に掲載


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社
(右から)パンフレットの表紙、裏表紙、リーフレットの表紙

 「違いを認め合い、互いに尊重し合う心豊かな社会へ」。性の多様性への理解促進に向け、沖縄県の啓発パンフレット・リーフレットがこのほど完成した。県内高校生3人がそれぞれ描いたイラストが、表紙や裏表紙を鮮やかに彩る。3人は「多くの人が性の多様性に関する理解を深めてほしい」と多様性を尊重する社会の実現へ思いを込めた。

 県による性の多様性への理解促進に向けた啓発パンフレットデザイン制作事業の一環。県立高6校から25人の生徒が参加した。事前研修での当事者からの講話やオリエンテーションを通し、性的少数者(LGBTQなど)が抱える苦しみなどについて理解を深めた。その後、イラストを制作し、県ホームページ上での投票で作品を選定した。

 浦添工業高3年の伊計蘭菜(らな)さん(18)、開邦高2年の大前夢生(ゆい)さん(17)、大城音羽(ののは)さん(16)の3人の作品が選ばれた。

それぞれのイラストを描いた浦添工業高の3人

 パンフレットの表紙を飾った伊計さんは「私たちが体験したことのない、LGBTQの方の苦労を知った」と語った。親しみを感じるよう柔らかいタッチで描き、さまざまな愛の色があることを表現した。

 裏表紙を彩った大前さんの作品は「興味を持ってもらえるように」とカラフルにデザイン。中心人物はあえて色を加えず白で表現し、“自分の色は自分で決める”とのメッセージを込めた。

 リーフレットの表紙を描いた大城さんは、性の多様性尊重を示すレインボーフラッグを作品に取り入れた。「当事者は私たちと変わらない普通の人たち。今の社会に制度が足りていないと感じた」と研修を振り返った。

 3人以外の生徒のデザインも、冊子内の挿絵などに活用。LGBTなどの言葉の意味や、当事者が困りごとを抱える事例の紹介、相談窓口などが掲載されている。各県立高校のほか、県立図書館、各市町村図書館や児童館などにも配布予定。県立図書館では、冊子の内容を紹介するパネルを、2月28日まで展示している。
 (吉田早希)