民意はどこへ…辺野古県民投票から3年 新基地建設強行に市民ら反発、「反対」疲れも


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新基地建設に反対し座り込む市民ら=21日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 【名護】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の賛否を問い、約72%が反対票を投じた県民投票から24日で3年を迎える。四半世紀にわたって、基地問題に翻弄(ほんろう)されてきた名護市民からは「なぜ民意をないがしろにするのか」と反発の声が上がる一方、「どうせ何を言っても国は基地を造る」と諦めにも似た声が上がる。

 97年の住民投票で「反対」に投じた市屋部出身の50代の自営業男性は、3年前の県民投票で「賛成」に転じた。「最低でも県外」という公約を覆した民主党政権や、知事や市長が基地反対を訴えても政府が新基地建設を進めている現状に失望した。「基地を容認し、得られる交付金を活用や軍民共用などの実現を目指すことが市民の利益につながるのではないか」と心境の変化を説明する。

 「戦争につながる基地はいらない」。市内の看護師女性(34)は3年前、「反対」に1票の思いを込めた。しかし、無力感も感じている。「普段、新基地の話が出ることはない。向き合うのに疲れた人が多いのではないか」と推し量る。

 女性は以前、名桜大で教員をしていた頃に平和教育で学生を辺野古に連れていくことがあったが、ゲート前の声を張り上げたり機動隊に排除されたりするような抗議活動について「怖い」と感じる学生もいた。「沖縄戦を学んでも現在の新基地建設と結び付けることができていない」と指摘する。

 県民投票は新基地建設への反対票が上回った。新基地建設への抗議運動は盛り上がったが、抗議する市民に対してSNSを中心にデマややゆする投稿は後を絶たない。沖縄平和運動センターの山城博治前議長は「運動が非常に厳しい状況になっている。政治的立場を超えて『沖縄を再び戦場にしてはならない』と強く訴えていくしかない」と話した。
 (岩切美穂、長嶺晃太朗)