新基地中止求める陳情採択は全国48議会に 「新しい提案」委員会、投票結果が原動力に 県民投票3年


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 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票から24日で3年となり、投票結果は、新基地建設の中止などを求める「新しい提案」実行委員会が全国の地方議会に展開する陳情運動の原動力にもなっている。今年1月現在で、沖縄県内を含む全国1788の地方議会のうち18都道府県の48議会が意見書や陳状を採択・可決している。県民投票後も埋め立て工事に突き進む国の強硬姿勢に対し、同委員会責任者の安里長従氏は「県や県議会も、県民投票結果を基にアクションを起こすべきだ。本土にボールを投げ返していくしかない」と訴える。

 県民投票は、市民有志の「『辺野古』県民投票の会」(元山仁士郎代表)が9万2848筆の賛同署名を集め、19年2月24日に全県で実施された。投票率は52.48%。有効投票総数の72.15%、43万4273人が反対の意思を示した。

 安里氏は、署名活動に取り組んだ「辺野古」県民投票の会でも副代表を務めた。埋め立ての賛否という「ワンイシュー(一つの争点)」で問い掛けた県民投票について、「司法が示した『沖縄の民意は明らかでない』という議論にピリオドを打った」と意義を強調する。

 県民投票直後の19年3月に、「新しい提案」実行委員会として各地方議会に陳情を提出した。内容は、辺野古新基地建設の中止と普天間飛行場の運用停止、国内に普天間飛行場の代替施設を設ける必要の是非や、沖縄以外の候補地などを国民的議論.民主主義.憲法の規定で決定する―ことなどを求める。

 昨年6月には、国会が立法手続きの中で米軍基地負担軽減を図ることや、沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂の不使用なども盛り込み、各議会に陳情を再提出した。

 陳情を通して、県内を含む都道府県.市区町村議会のうち約2.6%が意見書の可決や趣旨の賛同に至ったことになる。可決に至ったのは小規模自治体や無所属議員が多い議会だという。

 一方で、各議会の審議では政権与党の自民系議員の反対だけでなく、国政野党系議員の中にも「本土移設の容認になる」と反発するケースがあるという。

 安里氏は「意見書は構造的な差別の是正であって、イデオロギーの問題ではない。(基地受け入れを認めていけないという)完璧な正義を求めることで、沖縄への不正義を許すことになる」と指摘した。
 (塚崎昇平)