在留資格、賃金不払い…沖縄在住の外国人から相談増228件 コロナ長期化が影響 4~12月


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外国人の起業相談が増えている国際交流多文化共生施設「コザインターナショナルプラザ」の麦倉祐貴代表(左)と職員の井口明さん=2月3日、沖縄市中央

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、県内在住の外国人から県国際交流・人材育成財団(宜野湾市)に寄せられた相談が増加している。2021年4~12月の9カ月間の相談件数は228件に上り、すでに20年度1年間の207件を超えた。大半は新型コロナによる生活への影響で、県内経済の停滞が外国人労働者や留学生らの暮らしにも影を落としている。

 相談内容の内訳をみると、「その他」の70件を除き「在留資格・ビザ・旅券」が53件で最も多く、次いで「医療・健康・心理相談」が27件、「労働・賃金・解雇など」が24件となった。

 同財団国際交流課の根来全功課長は「昨年は宿泊業に勤める外国人からの相談があったが、今年に入ってからは飲食店の閉店で職を失った外国人からの相談が増えた」と説明した。

 飲食店の閉店のほか、観光客を相手に商売する事業所の倒産などで、職を失った外国人労働者もいたという。不当解雇や時間外労働に対する賃金の不払い相談もあった。

 根来課長は「今後潜在的に問題を抱える外国人からの相談がさらに増えると思う。相談件数も高止まりで推移していくだろう」と話し、外国人が置かれる厳しい状況が続くと見通した。

 多くの外国人がコロナ禍に苦しむ中、たくましく前を向く動きも出ている。沖縄市中央にある国際交流多文化共生施設のコザインターナショナルプラザ(KIP)では、21年4~12月の外国人からの相談件数は114件あった。そのうちコロナ禍で帰国できない外国人から飲食店などの起業についての相談が目立っているという。

 同団体代表の麦倉祐貴氏は「せっかく沖縄を選んできているので、沖縄を好きになってほしい。今後も外国人の支援を続けていきたい」と述べ、異国の地で奮闘する人々に寄り添う思いを強くしている。
 (呉俐君、写真も)