【識者談話】辺野古県民投票の拘束力とは?ワンイシューでのまとまり示す(仲地博・沖大名誉教授)


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仲地 博(沖縄大名誉教授)

 3年前の県民投票は辺野古新基地建設への「反対」を示した。新基地建設反対を訴えたオール沖縄は政治勢力としての衰退や陰りが指摘されているが、3年前の県民投票で示された民意は揺らいでいない。県民が新基地建設や過重な基地負担への異議申し立てというシングルイシューでまとまりうることを示している。

 県民投票はワンイシューで問うた厳密な世論調査とみることができる。法的な拘束力はないが、政治的な拘束力はある。新基地建設阻止に向けて国と対峙(たいじ)する玉城デニー知事には大きな後ろ盾となるし、今年の知事選挙でも自公系候補が「辺野古移設容認」を掲げるかも焦点となる。

 「オール沖縄は革新共闘」という主張もあるが、現在のオール沖縄は日米安保・自衛隊への反対でまとまったかつての革新共闘とは異なる現実路線を歩む。保革共闘の素地(そじ)がここにあり、対抗する相手は基地負担を強いる政府となる。

 沖縄には土地闘争、「祖国復帰」、代理署名、「集団自決」(強制集団死)を巡る教科書検定など、県民が島ぐるみで政治を動かした戦後史がある。平和を求める県民一丸の主張は、沖縄の自治の主張とも表裏一体となり、政府に政策変更を迫ったのである。

 政府は県民の意思表示にもかかわらず、新基地建設を強行している。半面、県民投票で示された「7割の反対」は事実として永久に残り続ける。オール沖縄の寄って立つ基盤であり、新たなうねりを起こすためにも、政治家も県民も、その事実を掲げて政府に異議申し立てを続ける必要がある。
 (行政法)