ロシアがウクライナへの攻撃を開始したとの報道は24日、沖縄を含めて世界を一気に駆け巡った。「戦争の時代に突入か」。県民は米軍基地が集中する沖縄への影響を不安視した。沖縄戦の体験を踏まえ、大国に翻弄(ほんろう)される現地住民を心配する声が上がった。
15歳で沖縄戦を体験した翁長安子さん(92)=那覇市=は「戦争を始めるという考え自体、最低だ。人間の血が通っているとは思えない」とロシアの攻撃を非難した。沖縄戦では郷土部隊で炊事や看護要員として従軍し、南部で猛烈な砲撃の中を逃げ惑った。「あんな体験は誰にもさせたくない。武器を使う人は安全な所にいて犠牲になるのは結局、弱い者だ。政治家は人の命を虫けらくらいにしか考えてないのではないか」と住民を案じた。
県立農林学校の卒業直前に徴兵され、沖縄戦を経験した渡口彦信さん(95)=読谷村=は「武力は愚かだ。平和外交に徹するべきだ」と訴える。渡口さんは戦後捕虜になり、ハワイの収容所で過ごした。「戦争は惨めで勝ちも負けもない。どちらも傷つくことになる」とし、慎重な対話を行うことを求めた。
東アジア共同体研究所琉球・沖縄センターの緒方修センター長は「ロシアの軍事攻撃は断じて許されない。犠牲になるのは市民だ。大統領は直ちに軍事行動を停止すべきだ」と指摘した。その上で「ウクライナの軍事紛争は台湾有事、尖閣など東アジアにも悪影響を及ぼしかねない。欧米も軍事介入を控え、国連など国際対話による平和的解決を図ってほしい」と願った。
県内で長年平和運動に参加している浦島悦子さん(74)=名護市=は、「武力は憎しみを生み出すだけ。現地の住民は大国の政治、軍事ゲームに翻弄されている」と語った。県内での辺野古新基地建設、自衛隊基地へのミサイル部隊配備を懸念した上で、「軍事力による解決は問題を複雑にする。報復合戦になると、世界中が不安定になる。戦争の時代に突入しているように感じる」と不安視した。