民主主義実践で問題解決 辺野古県民投票3年、識者や研究者議論


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公開ゆんたく会「復帰50年×『新しい提案』これからの新しい沖縄の民主主義を考える」で意見を述べる登壇者ら=27日(ビデオ会議システム「Zoom」より撮影)

 名護市辺野古の基地建設に伴う埋め立てに反対の民意が示された県民投票から3年を迎えるのに合わせ、公開ゆんたく会「復帰50年×『新しい提案』 これからの新しい沖縄の民主主義を考える」が27日、ビデオ会議システム「Zoom」で開かれた。米軍普天間飛行場の移設などについて、公正で民主的な解決を求めて全国の地方議会に陳情運動を展開する「新しい提案」実行委員会の安里長従氏らが、民主主義の実践を通して問題解決を図る重要性などを確認した。

 安里氏は県民投票の民意が顧みられず、建設が強行される背景を「日本は民主主義が機能していない」と指摘した。民主的な解決を求める意見書を可決したのは全国で48議会にとどまり、可決ゼロの都道府県は西日本を中心に29に上るという。「陳情というボールを投げ続けても、本土は応答責任を果たす代わりに、差別による不平等を固定化している」と訴えた。

 ラジオパーソナリティーの河原弥生さんは、豊見城市議会が本島南部の土砂の使用中止を求める意見書を否決したことを受け、幼なじみや同級生に相談し、声を挙げたことで市議会での趣旨採択につなげたことを振り返った。「おかしいと思うことに声を挙げ、誰かに相談し、実行に移すことが私の考える民主主義の実践だ」と話した。

 自営業の平敷屋朝楠さんは「県民投票はウイングを広げ、県民運動にしていく意味があった」と振り返った。「平和が大事で経済は二の次」という思想や政治は生活者の共感を得られないとし、「基地反対の政治勢力が生活者にどう寄り添って共感を得られるのか考えてほしい」とも促した。沖縄大地域研究所特別研究員の泉川友樹さんは沖縄への米軍基地集中や辺野古新基地建設は、中国「脅威」論が前提になっているとして「目指すべきは、米軍駐留が必要のない国際環境づくりであり、地域大国である中国への理解が必須だ」と強調した。

 このほか、宮古島市議の下地茜さん、関西沖縄文庫主宰の金城馨さん、沖縄大非常勤講師の親川志奈子さんが登壇した。
 (中村万里子)