「戦争ってなぜ起きるの?」戦跡巡り対話で深めた てつがくカフェin西原町


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
新聞の不発弾の記事を紹介しながら銃痕の解説をする瀬戸隆博さん(中央左)=2月19日、西原町小波津

 【西原】てつがくカフェin西原町「西原町で哲学対話」(主催・同町地域ぐるみ学力向上推進協議会、同町教委)が2月19日、同町町民交流センター中ホールを主会場に開かれた。小中学生と保護者ら約30人が参加し、小波津銃痕跡の壁などの戦跡を回り、「何で戦争は始まったのか」「命って何」などの問いを出し、語り合った。

 前半はニシバル歴史の会の瀬戸隆博さんの案内で同センター周辺を回った。瀬戸さんは運玉森が戦争の要地であったことなどを解説し「日本兵が1発撃つと100発返ってくるような状況だった。弾痕はどうやってでき、体に当たったらどうなるか、考えてほしい」と語った。

 同センターに戻り、「りゅうPON!」の連載「てつがくカフェ」でコーノさんとして登場する河野哲也さん(立教大教授)と立教大などの学生3人が進行役を務め、「哲学対話」を実施した。河野さんは「銃の弾痕の背後にあることを想像して、話し合うことは未来を考えること。じっくり考えて」と呼び掛けた。

戦争がなぜ起きるのかについて哲学対話する坂田小5年の児童ら=2月19日、西原町町民交流センター中ホール

 哲学対話は小学生、中学生、大人の3グループに分かれた。坂田小5年の児童は「戦争を起こす人は、権力が欲しかったら自分が戦争に行けばいいのに。何で他の人を行かせて殺すのか」と語った。同小5年の別の児童は「発表する時に圧がなくて楽しくできた」と述べた。

 中学生グループでは「戦争の色は」と問いを立て「死体の色で白」「暗い緑」「赤」などの答えがあった。西原東中1年の生徒は「みんなと意見が違ってびっくりした」と述べ、同中1年の別の生徒は「戦争が起きたら逃げることしかできなさそう」と話した。

 瀬戸さんは「普段は(戦跡を巡って)そのまま帰るが、自分の感想を交えられる時間は、とてもよかった」と評価した。企画した同町教委の甲斐崇指導主事は「時間がたつにつれ、皆が話し始めた。場が与えられると自分の考えをしゃべりたくなるものだと感じた。参加した人に少しでも何か気付きがあってほしい」とまとめた。
 (関戸塩)