【浦添】モノレールてだこ浦西駅周辺地区開発を巡って、スポーツフィットネス施設の立地が規定されている14街区(約3500平方メートル)について、地権者側が他業種の企業と交渉していることが3日、分かった。浦添市は、駅周辺地区内の分散型エネルギーシステム構築を念頭に、換地規定にのっとりフィットネス事業者の選定を求める意見書を組合へ提出した。地権者側が方針を変えない場合は、勧告に踏み切る可能性もある。
地権者が組織した浦西駅周辺土地区画整理組合の又吉眞孝理事長は「契約が決まったわけではないが、組合は14街区の地権者の意向と権利を尊重しなければならない」と話した。
組合によると、昨年秋ごろに14街区の地権者を通じて、全国展開する大手企業2社が組合側に共同で事務所ビルを建設したいとの意向を伝え、今年2月25日に事業計画のプレゼンテーションが行われた。組合側は、2社を含め同街区へ参入の意向を示す事業者と市を交えた3者協議の場の設置を求めている。
14街区は元々、フィットネス施設建設が定められ、駅周辺地区のエネルギー供給を担う浦添分散型エネルギー社が機械設備や配管を整備してきた。しかし、新型コロナウイルスの影響により、進出に前向きだったフィットネス事業者が撤退を決めた経緯がある。
開会中の市議会2月定例会でも取り上げられ、市政与党議員を中心に「フィットネス施設を整備すべきだ」との声が相次いでいる。市は意見書の中で、浦西駅周辺地区開発は国、県、市の補助事業として導入されており、どれか一つが欠けることは市として「承服できない」とし、フィットネス事業者を選定するよう意見した。
組合が、事業の迅速化などを理由に今月末で浦添市からの職員派遣を打ち切ることも明らかになった。市は事業の遅延を懸念し再考を求める意見書を提出したが、組合側は方針を変えない考え。
又吉理事長は「民間から人材登用したほうが事業の迅速化につながると判断し理事会で決めた」と説明した。市によると、2018年から組合の求めに応じて職員を派遣しており、人件費は組合が負担している。
(吉田健一、写真も)