地響きと黒煙「なぜこんなことに…」 伊江島の「命綱」救急小型機の墜落 村民に衝撃


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 【伊江】「ドーン」。地響きとともに黒煙が上がり、静かな島に衝撃が走った。12日午後0時45分ごろ、伊江村の伊江島空港で、救急ヘリを運用するNPO法人メッシュ・サポートの小型航空機が墜落した。亡くなった2人を悼むと同時に、医療体制がぜい弱な離島にとって「不可欠な存在」(村民)の救急ヘリの今後にも心配する声が寄せられた。

墜落した小型機を調査する県警の捜査員ら。小型機が衝突したフェンスは破壊されている=12日午後4時30分ごろ、伊江村

 墜落現場は、焼け焦げた小型機の残骸が散乱していた。機体は墜落後、炎上した。衝突したフェンスは大きく変形していた。村消防や職員ら約20人が出動し、1時間以内に炎上した機体は消し止められた。現場には規制線が張られ、県警は急きょ捜査員を派遣し、現場検証を進めた。

 現場のすぐそばの葉たばこ畑で働く大城雅明さん(42)と凡子さん(43)は心配そうに現場を眺めた。小型機が飛行場の周辺を旋回したり、タッチ・アンド・ゴーをしたりする訓練をたびたび目撃したという。凡子さんは「とても怖い。畑に被害がないか確認したいが、規制線で中には入れない」と不安そうな表情を浮かべた。

 現場から1キロほど離れた畑にいた女性(44)は衝撃音を聞いた。直前には「カンカンカン」という音も聞いており、「フェンスにぶつかった音だと思う」と推察する。女性の70代の母が1年ほど前に、メッシュ・サポートの救急ヘリを使って病院に搬送された。「メッシュは村民にとって“命綱”だ。なぜこんなことに」と声を落とした。

 村内で民泊事業を手掛ける「こころ」の玉城譲さんは(57)は事故の一報を聞いて現場に急行した。玉城さんの民宿にはこれまでメッシュ・サポートの関係者が多く宿泊して交流が深かった。現場の悲惨な状況に沈痛な表情を浮かべる。「事故の影響でメッシュが無くならないことを願う。国や県もメッシュをもっとサポートすべきだ」と力を込めた。

 伊江村の島袋秀幸村長は、「(2人は)崇高な使命を持ち任務に当たってきた。哀悼の意を表したい」などと述べた。村によると、他の被害の情報は入っていないという。空港は閉鎖されている。

(長嶺晃太朗)


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