【記者解説】観光の潜在的需要強く 経済回復に期待感 沖縄の地価9年連続上昇


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 国土交通省が22日に発表した今年の県内公示地価は、全用途平均で2・0%の上昇となり、2年ぶりにプラス幅を拡大した。2020年から続く新型コロナウイルス感染症の流行は収束しない一方で、ワクチン普及や感染防止策が浸透する中で経済活動の自粛が徐々に緩和されてきており、経済回復への期待感や観光地としての強い潜在的需要が地価を押し上げた格好だ。

 県内は観光需要の高まりを背景にホテル建設や住宅・マンション取得などの引き合いが強まり、14年から毎年地価の上昇を続けてきた。しかし、新型コロナの感染拡大で国際線が休止するなど県内への入域観光客数は激減し、需要が縮小。21年の公示地価は全用途平均でプラスを維持したものの、上昇幅は前年から10ポイント近く減少した。今回の調査では昨年9月末の緊急事態宣言解除、同11月に行動制限が緩和されたことなど期待感が高まった。

 コロナ後に住宅地は様子見で取得を控える動きがみられたが、県内は人口増加が続き、全国最下位の持ち家比率、核家族化による世帯数増加などで住宅需要は底堅い。低金利や住宅ローン減税で取得意欲が続いている。那覇市の需要が依然高いものの、利便性の向上などで値頃感のある郊外や隣接地の引き合いも強まっている。

 商業地は、依然観光客数が回復していないものの、企業に対する政府の資金繰り支援策もあって、地価の激しい下落は少ない。コロナ禍を一時的なものと捉える投資家もおり、9月以降は浦添市や北谷町などで不動産の引き合いが強まるなどコロナ後を見据えた動きが上昇幅を幾分拡大する結果になっている。

 ただ、昨年末から新型コロナの変異株の感染拡大で観光や飲食といった対面型サービスが下押し圧力を受けており、原材料費や建設資材の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻など企業の収益環境は懸念材料が出ている。

 地価は「景気を映す鏡」と言われる。那覇空港国際線の再開時期をはじめ観光回復の力強さがどこまでかなど、先行きは依然不確実性が残っている。 (小波津智也)


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