〈100〉ひどい生理痛(月経困難症) ピル服用の検討を


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 多くの女性が毎月のひどい生理痛(月経困難症)に悩まされています。大切な予定がある時に月経が来てしまうことで、試験で本来の力を発揮できなかったり、出勤したにもかかわらず仕事を早退してしまったり、せっかくのデートでも痛みでパートナーに集中できなかったり。何カ月も前から計画していた楽しいはずの旅行なのに、痛みに耐えて過ごした思い出しか残らないなど、女性の生活の質を著しく低下させてしまいます。

 また、月経困難症には子宮内膜症が隠れていることもあります。我慢に我慢を重ねることで子宮内膜症が悪化し、知らないうちに不妊症になっていたり、将来卵巣がんの原因となることさえあります。

 そこで、月経困難症の女性にピルの服用を検討していただければと考えています。ピルは、正しくは低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)といい、月経困難症と診断されれば、保険診療で服用することができます。ピルは、月経困難症だけではなく、過多月経や月経前症候群にも効果があり、高い避妊効果もあります。

 ピルと聞いただけで、「なんかイヤだ。こわい」と感じる女性も多いと思います。しかし、現在のピルは副作用が少なくなるように改良が重ねられ、安価に内服することができ、女性が恩恵を受けることが多いものです。

 ピルを服用することでホルモンバランスが整い、ニキビが改善することもあります。また、ピルは太りません。服用を中止すれば、もちろん妊娠が可能です。多くのがんのリスクを低下させることもわかっています。

 ピルの副作用に血栓症を懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、血栓症の発症は、実は妊娠中と産後が多く、ピルは妊娠を防ぐものですので、血栓症予防薬という考え方もできます。

 以上から、ピルの服用に関して過度な心配は不要と考えています。しかし、喫煙中の方は血栓症のリスクが増加しますので、服用には注意が必要です。

 月経困難症でお悩みの方はどうか我慢せずに、生活の質の改善とご自身の将来のために、ぜひ産婦人科を受診していただければと思います。

(諸井明仁、北部病院 産婦人科)