【名護】名護湾で実施されたヘリコプターのつり下げ訓練などが米海軍によるものだったことに、地元の漁業関係者から「訓練場所ではないところで実施するのはおかしい」「もし事故があったらどうするのか」など不安の声が上がった。
訓練が実施されたのは、名護市許田の国道58号から数百メートルの沖合。沖縄自動車道許田インターチェンジから名護市街方面に向かう国道58号を通行中に訓練に気づき、車を止めて驚いた様子で観察する人もいた。
米海軍のMH60Sヘリコプターは、刺し網も設置されている漁場で低空飛行やつり下げ訓練を実施した。名護漁業協同組合(安里政利組合長)によると事前に通告はなかった。名護湾で30年以上、刺し網漁をしているという漁師の男性(63)は「訓練があったと聞いてびっくりした。ここは米軍の訓練場所ではないはずだ」と不安そうに話した。
第11管区海上保安本部によると、米軍提供区域での訓練に関しては事前に訓練期間の通告があるため、海上安全情報として航行の安全を呼び掛けている。今回は米側から通知がなく、地元漁協などに訓練に関する情報は出せていない。
漁から戻ってきた30代の男性漁師は「仕方がないという気持ちもあるが、もし事故があった場合はどうするのか」と言葉少なに話した。
名護漁港にいた名護市の男性(65)は「訓練すべきでない場所にいきなり来て訓練するのはおかしい。漁業関係者でなくても誰でも同じように感じるのではないか」と語気を強めた。
(松堂秀樹)