未来に続く支援とは? 取り組みを共有<おきなわこども未来ランチサポートシンポジウム>


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シンポジウムで登壇者に拍手する来場者ら=18日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 おきなわこども未来ランチサポート(実施主体・琉球新報社、おとなワンサード、日本郵便沖縄支社)と、OKINAWA SDGsプロジェクト(OSP、事務局・琉球新報社、うむさんラボ)が18日に那覇市の琉球新報社で開いた第2回おきなわこども未来ランチサポートシンポジウムは、認定NPO法人フローレンス(東京)の駒崎弘樹代表が、社会を変える働き掛けを自身の経験から説明し、他の登壇者と子どもや家族への支援の今後を考えた。詳しい内容を紹介する。


<登壇者>

駒崎弘樹氏(認定NPO法人フローレンス代表)
島津典子氏(県SDGs推進室室長)
下向依梨氏(株式会社roku you代表取締役・教育クリエイター)
横江崇氏(NPO法人子どもシェルターおきなわ理事長・弁護士)
進行=富田杏理氏(ランチサポート事務局、おとなワンサード代表取締役)


 

富田杏理氏

<討論>

 富田氏 社会課題をどう発見しているか。

 駒崎氏 発見というより身近な人の実情、相談、メディアの情報などから出合っている。

 富田氏 高校生はどのように課題意識を持っているか。

 下向氏 問題解決思考というより、自分たちのありたい未来をつくる思考が強いと感じる。評価されない環境で、子どもが自分自身の心の動きに気付くと、どんどん声が出てくる。

下向依梨氏

 富田氏 接する若者たちに教育はどう関わり、関わっていないか。

 横江氏 困難を抱えた子どもたちと出会い、学校が管理・統制的で社会に開かれていないと感じる。

 駒崎氏 学校の課題は大きい。ブラック校則など、すべての子どもの人権を守るべき学校が子どもの可能性を抑圧し新たな社会課題を生み出している。学校が変わるために、私たちが学校をどう支援できるか考えないといけない。

 下向氏 学校は「ねばならない」という縛りが強い。一方で素晴らしい先生方がたくさんいる。業務の足し算ばかりで引き算や割り算がない構造的な課題を、社会全体で考えたい。

島津典子氏

 富田氏 コロナ禍で生まれた県の取り組みは。

 島津氏 ランチサポートはコロナ禍に民間から始まり、県民会議が関わって官民共同で取り組んできた。民間の声を行政が受けて官民が共同するのが重要だ。県内は厳しい家庭が多い。子ども食堂など子どもを支える自主的な活動が多いのはありがたい。

 富田氏 ランチサポート開始を県に報告した時、フローレンスのような宅食をしたいと話した。終了後、職員が走ってきて「自分も感心があり視察も行った」と。沖縄でも動かそうと気持ちが一つになった。フローレンスがなかったらランサポもこの規模にはならなかった。駒崎氏へ、今後の優先課題は何か。

駒崎弘樹氏

 駒崎氏 コロナ禍では全国から「毎日パン1袋で生きている」「川沿いの野草を食べてしのいでいるが限界」といった声が毎日のように届いた。もっと多くの人を取りこぼさず助けられるよう宅食ネットワークを全国に広げ、セーフティーネットとして強じんにしたい。それには政策に反映させるのが重要。会社員などが業務時間外に政治家や行政、官僚に「困っている人がいる」と説得して政策につなげる。この政策起業家には誰でもなれるし、諸外国ではやられている。4年に1回しかない選挙でしか意思表明できないのは遅い。日常的に参画する、よりよい民主主義を残すため各地で人づくりをしていきたい。世の中を変えるのは政治家じゃない。

横江崇氏

 横江氏 提言し事業化されても行政から費用対効果を求められる、指摘が多いなどやりにくさがある。

 島津氏 税金で運営するので費用対効果は厳しくなる。SDGsはすべての人が参画し、声を出せない人の声を拾うのがテーマ。子どもや若者の声を行政に反映させるため対話の場も作りたい。声を届けてほしい。

 参加者 必要な人に情報を届けようと活動するが、本当に困っている人とどうつながるか。

 駒崎氏 ひとり親が毎年行う行政手続きの窓口で冊子を渡す。申し込みをLINEにすると3倍に増えた。ハードルを下げるのが大事だ。

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<活動紹介>

県SDGs推進室 誰一人取り残さない沖縄へ

 2021年5月に沖縄県は国からSDGs未来都市に選定された。自治体SDGsモデル事業として国の補助金を活用する10都市にも選ばれている。誰一人取り残さない、持続可能な美ら島沖縄モデル推進事業を展開している。
 沖縄SDGsアクションプランの策定にも取り組んでいる。県民アンケートで何を変えていきたいか尋ねたところ、多かったのが子どもの貧困問題だった。子どもの貧困対策を推進し、子ども食堂や居場所作りなど総合的に取り組んでいる。

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株式会社roku you 学校を社会に開く

 可能性を磨き続けられる社会をつくるために、学びの仕掛け作りをしていく会社を県内でやっている。一つは子どもの心のエンジンを駆動して学校を社会に開くための高校探求学習事業だ。核に据えているのがマイプロジェクトで、生徒が社会課題に取り組む。授業に入ってプログラムをつくり、先生に伴走する。
 沖縄市の公立小学校では菜園とキッチンで学びを深めている。地域の料理人など学外の人も学校に関われる。学校を社会に開くことがテーマ。公立学校でもできることを示したい。

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NPO法人子どもシェルターおきなわ 虐待・体罰から子を守る

 非行や児童虐待、体罰、子どもの人権課題に取り組んでいる。2015年に「子どもシェルターおきなわ」を立ち上げた。虐待を受けた子は児童相談所が対応するが、幼い子が優先で10代後半は後回しになる。そのためシェルターは15~19歳の女性が対象だ。
 子どもの権利条約は「参加する権利」が柱の一つ。子どもは独立した権利の主体で、大人と子どもは社会のパートナーだ。県が「子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」を制定した。市町村にも条例制定を広げる活動もしている。

 

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