沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、国土交通相が8日、設計変更を不承認とした県の処分を取り消す裁決を行ったことを受け、県民投票を実現した市民団体の関係者や、新基地建設反対を訴える市民からは、落胆や憤りの声が上がった。
辺野古埋め立ての賛否を問う2019年の県民投票では有効投票の72%が「反対」に投じたが、工事は止まっていない。「『辺野古』県民投票の会」元代表の元山仁士郎さん(30)は「政府に不信感が募るばかりだ。政府は沖縄の思いに耳を傾け、真剣に向き合ってほしい」と求めた。
国の設計変更申請を不承認とした知事判断を支持する声として、世界40カ国から集まった5万筆余の署名を玉城デニー知事に手交した「辺野古の海を土砂で埋めるな! 首都圏連絡会」事務方の外間三枝子さん(73)は「ふざけるな、の一言だ。防衛省が私人になりすまして審査請求するおかしなことが続いている」と国の手法を批判した。
沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、辺野古新基地建設計画の地震想定について、中規模程度の「レベル1」で設計されている一方で、新たに政府の地震調査委員会が南西諸島などでマグニチュード(M)8の巨大地震が起き得るとする「長期評価」を公表したことを受け、「県は再度、設計変更を不承認にすべきだ」と指摘した。
(中村万里子、知念征尚)