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県内家計、コロナ禍で消費に回せず<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県が発表した家計調査によると、2021年平均の2人以上の世帯のうち勤労者世帯における平均消費性向は68・5%となっています。これは簡単に言えば、家計の収入のうち68・5%は消費に回り、残りは貯蓄等に回っているということになります。

 本数値は世帯の消費意欲を示す指標として用いられますが、直近の推移では19年に78・8%でしたが、20年には66・3%と10%以上低下したことが分かります。この傾向は全国も同様で、20年の全国値は61・3%で前年比6・6%減となっています。

 平均消費性向については、実収入のうちの可処分所得(社会保険料や税金などを引いたいわゆる手取り収入)を分母としており、沖縄におけるこの可処分所得は19年で31万8千円、20年は34万1千円、21年には37万円と、増加傾向にあります。一方、分子となる消費支出額ですが、19年で25万1千円、20年は22万6千円、21年には25万3千円となっており、20年は低下したものの21年は19年と同程度の水準となっています。

 近年の家計の特徴として、沖縄県ならびに総務省統計局では、新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛、営業自粛などによる消費の減少や、特別定額給付金や子育て世帯への臨時特別給付金の支給などにより所得が増加していることを挙げています。これらを踏まえると平均消費性向の低下からは、給付金等により所得が増えた一方で先行きの不透明感などから増加分を消費に回すことができていない現状が推察されます。

(おきぎん経済研究所研究員 與那覇徹也)