【まとめ】どう変わった?沖縄振興基本方針案の変更点の一部を紹介


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
内閣府

 沖縄の日本復帰50年の節目で示された、政府の新たな沖縄振興計画の「基本方針」は、沖縄の「自立的発展」という沖縄振興の意義を問い直させる内容となった。

 これから10年間の新たな沖縄振興基本方針案がまとまった。過去10年間の基本方針から文言が変更された項目の一部を紹介する。

■基地の跡地利用

 沖縄には米軍占有施設の全国の約7割が集中し、土地利用やまちづくりなどで制約を生み、県民生活へ影響を及ぼしてることから、沖縄に集中する基地負担の軽減を進める。跡地利用推進法を活用しつつ、基地跡地が段階的に返還される場合は拠点返還地の指定要件の緩和制度を活用する。

■子どもの貧困対策

 「子どもの貧困は親の貧困」との認識の下、貧困の世代間連鎖の防止を目指す。子どもの居場所の運営や支援員の設置、保護者の雇用に向けた支援などを通して、貧困に陥りやすい子どもに重点的に対応する。

■人材育成・確保

 将来的な人口減を見据えて、長期的視点の下で人材育成に取り組む。リーディング産業の高付加価値化や新たな産業の創出を図り、それぞれの業種で中核となる人材育成を目指す。社会人が学び直す「リカレント教育」などを推進する。

■科学技術振興

 琉球大学や沖縄科学技術大学院大学(OIST)などを核として、国内外の研究機関と連携を深め、科学技術によるイノベーション(技術革新)の創出を目指す。沖縄発のスタートアップ(起業)が生まれやすい環境の形成を目指す。OISTには外部資金調達の拡大を促しつつ規模拡充に向けた取り組みを支援する。

■北部振興

 世界自然遺産に登録された地域の強みを生かし、着地型観光の推進や特産品の開発・販路拡大などで産業振興や雇用創出を図る。情報通信技術(ICT)を活用した教育、医療、福祉サービスの向上により、定住・移住条件を整備する。

■離島振興

 離島地域の持続可能性の維持・向上に向けて、航空路の維持・確保や交通・物流コストなどの低減を図る。また、公営住宅などの生活環境基盤の整備を進める。人口流出を防ぎつつ、交流人口と関係人口拡大を目指す。

■社会資本整備

 新たな鉄道、軌道、その他の公共交通機関の整備の在り方について、全国新幹線鉄道整備法を参考とした特例制度を含めて調査・検討を進める。

■エビデンス基づく施策の展開・検証

 沖縄振興の真の実効性確保のため、見直しや改善を行うなど、EBPM(証拠に基づく政策立案)を徹底する。効率的な事業執行や自主財源の確保に向け、県外の好事例を積極的に取り入れる。改正沖縄振興特別措置法の見直し規定に基づく国の見直しの状況なども踏まえ、沖縄振興計画について所要の改定などを行う。
 (梅田正覚)


沖縄振興方針「5年以内見直し」追加 最終案了承 首相が5月中旬までに決定

【記者解説】新たな沖縄振興、「自主性」はなぜ消えたのか?国と県の距離感を反映