名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相裁決は違法だとして、周辺に暮らす住民が裁決の取り消しを求めた訴訟の判決で、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)は26日、市民側の原告適格を認めず、訴えを却下した。国交相裁決に問題があったかどうかは判断しなかった。
国が海を埋め立てる場合は知事の承認が必要で、2013年12月に当時の仲井真弘多知事が埋め立てを承認。その後、軟弱地盤の判明などにより、18年8月、県が辺野古沖の埋め立て承認を撤回し、工事が一時中断した。
沖縄防衛局は国交相に審査請求を申し立て、国交相は19年4月に県の承認撤回を取り消す裁決をした。
市民は裁決の取り消しと執行停止を求めて提訴。那覇地裁は20年3月、執行停止の申し立てを却下したものの、15人のうち4人は基地完成後に騒音被害などを受ける恐れがあるとし、申し立ての資格があると認定した。
20年4月、原告のうち11人に原告適格がないとして訴えを却下し、残る4人の審理が続いていた。
国交相裁決の取り消しを求める訴訟は県も国を相手に起こしているが、裁判所の審理対象に当たらないとして一審、二審ともに入り口で退けられている。