【経緯表】辺野古新基地の法廷闘争、今後どうなる? 是正「勧告」と「指示」の違いは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
新たな護岸建設が始まった辺野古の新基地建設現場

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、国土交通相が沖縄防衛局が申請している設計変更を承認するよう県に出した是正の指示は、4月8日の是正勧告とは異なり、法的義務が生じる。県は設計変更申請の承認を求める政府対応を地方自治体への「不当な関与」だとして対抗手段を講ずる構えで、今後法廷闘争に進む展開が想定される。

 防衛局は大浦湾側の軟弱地盤改良工事のため、2020年4月に設計変更を県に申請。県は21年11月、軟弱地盤の調査に不備があり、環境保全への措置も不十分などとして設計変更を不承認とした。

 県の不承認を不服とした防衛局の審査請求を受け、国交相は22年4月8日、不承認を取り消す裁決をし、併せて同20日までに設計変更の承認を求める是正勧告を出した。県は同日までには裁決内容を精査できないとして、判断を見送っていた。

 地方自治体は是正勧告に従う義務はないが、是正指示には法的拘束力がある。県が指示内容に従わない場合は、訴訟手続きを経て国交相が県に代わり設計変更の承認ができる「代執行」も可能となる。

 県は、承認を求める国交相の是正指示には応じない構えのため、対抗手段を講じる必要がある。是正の指示を不服として国地方係争処理委員会に審査を申し出ることや、不承認を取り消した国交相の裁決の効力を取り消すよう求める訴訟を提起するなどのパターンが想定される。ただ係争委への申し出を選択した場合でも、最終的には訴訟に移行する見通しだ。

 地方自治法では、都道府県の政令に関わる法定受託事務の処理について「法令の規定に違反している」「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害している」と認められる際に、政令を所管する各省庁の長が「違反の是正」や「改善のため講ずべき措置」について「必要な指示」をすることができると規定している。

(大嶺雅俊)