新型コロナ感染者の増加に比例して4月中旬から救急外来の受診者が急増している。発熱やせき、咽頭痛と多くは軽い症状で、中にはPCR検査だけを希望する人もいるという。医療現場は職員の感染や濃厚接触で欠勤者が増えており、人員不足に陥っている。医療従事者らは「必死で対応しているが、ひっ迫する期間が長すぎる。大型連休を持ちこたえられるか」と、不安と徒労感を抱きながら対応に奔走している。
沖縄県南風原町の南部医療センター・こども医療センターは受診まで5時間待ちの状況で、ホームページにも掲示している。それでも連日、受診者が途絶えない。
駐車場に並ぶ車の中では、倒したシートに横たわり、受診を待ち続ける人の姿がある。
同センターの救急外来受診者は通常60~70人ほどだが、4月半ばからは平日は百人を超え、土日は従来の倍以上の170人に上る。約6割が小児。オミクロン株が流行した第6波以後は多くが発熱やせきなどの軽症者だ。
同センターは交通事故や心筋梗塞など重篤な患者も受け入れる3次救急医療機関だが、軽症者が殺到することで「早期に治療が必要な人への介入が遅れる恐れがある」と、センターの土屋洋之医師は語る。
施設外で治療の優先順位を判断するトリアージの作業や防護具の着脱などが感染対策上必要。「体感的に手間はインフルエンザの倍以上」で、診察まで時間がかかる。
医療従事者の欠勤で周辺医療機関の救急が一部制限される現状も、患者が集中している一因だ。
「救急医療は止めない」を使命として奮闘しているが、土屋医師は「現場の疲労感が高まっている」と漏らす。
県立中部病院でも同様に救急救命センターがひっ迫しているため、看護師を増員する代わりに4月25日から5月6日まで外来診療を電話診療に切り替えた。
(嘉陽拓也)
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