沖縄の高校生、基地「撤去、縮小」は57%「分からない」は横ばい15% 沖縄歴史教育研究会が調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
嘉手納基地

 沖縄歴史教育研究会が6日に結果を公表した、県内の公立高校2年生対象の「琉球・沖縄歴史に関する高校生の知識・意識アンケート」で、米軍基地への考えを問う設問に「全面撤去」「整理縮小」と答えた割合は計57%で、過去の調査とほぼ同じ割合だった。一方、「分からない」は15%。2012年調査は16%、17年調査が15%と、これもほぼ同程度で推移している。関係者は、難しい社会課題について高校生が自らの問題として考えることを避ける傾向があり、教育の果たす役割が重要だと指摘する。

 今回のアンケートとは別の年に、県高等学校障害児学校教職員組合(高教組)と同研究会が5年に1度、高校2年生対象の「平和教育に関するアンケート」を実施している。米軍普天間飛行場の移設場所に関する意見を聞いたところ、20年調査では、4択のうち「分からない」が最多の43.7%だった。10年調査は32.7%、15年調査は36.0%で増加傾向にある。

 沖縄歴史教育研究会顧問の新城俊昭沖縄大客員教授は、両アンケートで「分からない」とする回答が一定数ある要因に、学校で基地問題について深く学ぶ機会がないことを挙げ、教育の重要性を強調。6日の会見で「社会を見ると大人同士の意見が対立し、政府と県も対立している。社会の混沌(こんとん)とした状況下で、高校生にとっては分かりづらい。だからこそ、本来ならば問題に向き合って自分なりに考える必要がある」と指摘した。

 今回の調査で、全国の在日米軍専用施設の何%が沖縄に置かれているかを問う設問の正答率は49%。前回の17年調査から7ポイント減少した。新城氏は「賛成なり反対なり、問題を深く掘り下げることが重要だ。『分からない』と逃げてしまっているところに、私たちが抱える大きな問題がある」と語った。

 調査は5年ごとに実施され、今年1~3月の期間中に県内48校の1491人が回答した。 (吉田早希、嘉数陽)