【東京】戦後沖縄最初のアナウンサーで昭和女子大名誉教授の川平朝清さんのトークイベントが15日、同大で開かれた。復帰50年を迎えた沖縄やウクライナ侵攻などの情勢を踏まえ、川平さんは家訓の三文字「美、仁、柔」を紹介し、その意味を解説した。「芸術など美を重んじる暮らしをせよ、心配りなど仁愛に満ちた人々との付き合いをし、その際はあくまでもかたくなな姿勢ではなく柔軟にというのが今、大事なのでは」と伝えた。
節目の年を迎えた沖縄、そして日本国民にとって地位協定改定が課題との考えも示した。「安保条約は必要だと私は思うが、地位協定で日本の主権が全く無視されている状況は変えるべきではないか。岸田文雄首相には、在任中にぜひ実現していただきたいと思う」と語った。
トークは、昭和女子大光葉博物館で開催中の「沖縄の民具・工芸にふるさとを思う」(6月26日まで)の一環で開催された。同大総長の坂東眞理子さんとの質疑で、自らの生い立ちを振り返る形で進行した。
会場からの質疑では1975年に皇太子ご夫妻(当時)が沖縄を訪問した際の進講(アドバイス)内容についても問われた。川平さんは「天皇に対して『なぜ戦争をもっと早く終わらせることができなかった』という思いが沖縄にはある。不愉快な思いをするかもしれないとは率直に伝えた」と振り返った。一方で火炎瓶事件があった後、皇太子(現上皇)が沖縄へ「心を寄せ続ける」との談話を発表したことに触れ「心配りのある方だなと感激した」と当時の思いを語った。
(斎藤学)
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