「権力との闘いの第二ラウンド」ジャーナリスト・植村隆さん、映画「標的」公開


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インタビューに答える(左から)西嶋真司さん、植村隆さん=16日、那覇市泉崎の琉球新報社(ジャン松元撮影)

 ジャーナリストの植村隆さんを追ったドキュメンタリー映画「標的」(西嶋真司監督)の上映が、14日から那覇市の桜坂劇場で始まった。27日まで。植村さんと西嶋監督が16日、琉球新報社を訪れ、作中で描いた言論を封じ込めようとする権力との闘いについて、語った。

 植村さんは2014年、朝日新聞に1991年に書いた「慰安婦」問題の記事を取り上げた週刊誌報道をきっかけに、殺人予告が送られるほどのバッシングを受けた。91年に民放のソウル特派員として慰安婦報道の渦中にいた西嶋監督は「不当なバッシングが、国家権力と一緒になって、市民の間に広まっていた。恐ろしい状況が日本に広まっている」と感じた。

 2015年1月に植村さんは、名誉を傷つけられたとして週刊誌の発行会社と関係者を提訴した(21年3月に最高裁が上告を棄却。請求を棄却した一、二審判決が確定)。西嶋監督は16年10月から、理不尽なバッシングに立ち向かう植村さんと植村さんを支える人々の姿を記録した。

 西嶋監督は「国家が、特定のメディアや記者を威圧し、不都合な情報を隠そうとした。22年の日本の報道自由度ランキングは71位。実際に、この国の権力とメディアの関係はいびつになっている。作品を見て、メディアのあり方を考えてほしい」と話した。

 植村さんは「他の記者や市民が、僕の次に標的にされる可能性がある。『標的』の上映は、権力との闘いの第二ラウンド。言論の自由のためにも、見てもらいたい」と力を込めた。
 (藤村謙吾)