〈107〉子のアレルギー反応 離乳食とお風呂で工夫


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 本稿を執筆しているこの当直中も、夕食の後、息子にじんま疹が出たとメールを受けました。子どものじんま疹はよく見る皮膚症状ですが、食物アレルギーを疑う代表的な症状の一つです。

 食物アレルギーは体に悪さをしない食べ物に対して、体を細菌やウイルスなどから守っている力である免疫が反応してしまい、じんま疹や息苦しさなどの症状が起こる病気です。

 食物アレルギーがなぜ起こるのかは多くの国で調べられ、答えが出されてきました。国ごとに比べた時、ある食材を離乳食として日常的に食べると、そうでない国の子どもたちに比べて、その食材のアレルギーになる可能性が低いということ、アトピー性皮膚炎や強い湿疹がある子どもはアレルギーを起こすことが多いことが分かってきました。

 つまり、口から食べることは免疫が受け入れてよいものと覚えてアレルギー反応を抑えること、荒れた皮膚から触れることは、免疫が外から来る敵と覚えてアレルギー反応が起きるということです。

 原因が分かってくると、防ぐための調査が始まりました。まず湿疹がある皮膚からの侵入を防ぐことが有効と示されました。お風呂やスキンケア、湿疹の早めの治療をおすすめしています。

 加えて離乳食の進め方を工夫し、食べることを積極的に行うことについても調査されました。食文化は国によっても違うので予防策もお国柄がでますが、日本では鶏卵について生後6カ月からの少量摂取の方法が小児アレルギー学会から提言されているほか、県内の施設から乳児期早期のミルク摂取による牛乳アレルギー予防の可能性も報告されています。

 ただし、腸の発達や腸内環境の成熟を考えると、早ければ早いほどいい、というわけではなさそうです。現状は肌をよく保つこと、離乳食は乳児健診などで説明を聞き、小児科医や、必要に応じアレルギー専門医と相談しながら進めていくのがベストと考えます。

 (本稿と参考論文について琉球大学小児科HPで解説致します)

(浜田和弥、琉球大学病院 小児科)