自分を重ね共感も 主演の県出身俳優・尚玄に映画「義足のボクサー」魅力を聞く


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映画「義足のボクサー」で主役を演じた県出身俳優の尚玄=那覇市泉崎の琉球新報社(ジャン松元撮影)

 「義足のボクサー GENSAN PUNCH」(ブリランテ・メンドーサ監督)がきょうから、沖縄で先行公開される。義足のボクサー・津山尚生がフィリピンでプロライセンスを目指す姿を描く。尚生を演じた県出身俳優・尚玄に撮影の日々と本作の魅力を聞いた。 (聞き手・藤村謙吾)

 ―ボクサー役として、どんな体作りをしたのか。

 「2020年の1月末から3月まで最初の撮影があり、コロナなどでいったん中断し、21年6月にようやくクランクアップした。撮影が始まる1年前からジムに通い、企画が本格的に動き始めてからボクシングジムに週5、6回程度、2年にわたって通っていた」

 ―第62回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞しているメンドーサ監督の撮影は、どのようなものだったか。

 「リアリズムを追究する、ドキュメンタリーのような撮影方法だった。台本は一切見せず、撮影直前にせりふを書いた紙切れが渡される。演者はそのときの生の感情を乗せ、相手と一緒に生きた会話をする。僕は、映像の中に言葉があり、行間に心の機微を感じさせるのが映画だと思う。尚生とコーチのやりとりにそれが強く表れている」

 ―実在する義足のボクサー土山直純氏がモデルになっている。

 「土山君は『義足を理由にするな、と母からいつも言われていた』と話していた。自分の夢に向かい一生懸命やれば、その先に夢がかなわなかったとしても、違う夢が見つかる。本作は一人の男が自分の夢を懸けて、海外に渡るヒューマンドラマ。僕自身、海外の作品に出演することが多く、彼と重ね合わせる部分も多かった。土山君の生き方に僕が感銘を受けたように、映画をみた人にも共感してもらえたらいいなと思う」