県高校総合体育大会は28日、各地で計18競技を行った。剣道男子個人は山里歩武(嘉手納)、女子は仲西花音(小禄)が栄冠をつかんだ。
捨て身の面 壁破る 山里
昨年の県総体、新人大会と続けて4強止まりで「準決勝の壁」に阻まれていた山里歩武(嘉手納)が、高校最後の県総体で悲願の初優勝を果たした。
準決勝は新人大会を制した大道祐京(興南)に先取されたが「ここが自分にとってのヤマ場だ」と奮い立つ。直後に面を打って追いつくと、最後は捨て身の面を決めて「壁」を打ち破った。
中学校の同級生で女子個人を制した仲西花音(小禄)から「勝てよ」と背中を押された決勝戦。開始早々、手登根煌青(興南)に面を先取される展開になったが「3年間、誰よりも練習してきた自信があった」と焦りはなかった。中盤に面を決めて流れを引き寄せ、最後は飛び込み面で一本を奪った。
2年生の頃まで嘉手納の剣道部員は山里だけだった。午前7時からの稽古のために大浦勲監督が毎朝、車で送迎するなど二人三脚で鍛錬を重ねた。大会前日の27日が53歳の誕生日で、最高のプレゼントを受けた大浦監督は「心の部分が一番成長した。腹を据えて逃げずに打ち込んでいた」と教え子の成長に目を細めた。全国総体へ向けて「優勝しか考えていない」と言い切った山里。強い思いで大舞台へ挑む。
(沖田有吾)
激闘15分 歓喜の涙 仲西
試合時間約15分に及ぶ激闘となった女子決勝。小学校からのライバルという島袋百々夏(興南)との大一番を、渾身(こんしん)の面で制した仲西花音(小禄)の目から喜びの涙があふれた。
昨年の新人大会で島袋に勝利したが、その後は2大会続けて決勝で敗れていた。「絶対に負けない」と雪辱に燃えていた。体力と気力を削り合うような重圧の中で、最後は持ち味のスピードを生かして鋭い踏み込みから面を打った。
「(個人戦の優勝で)団体戦への良い流れになった。この仲間での最後の大会にならないように、団体でも優勝したい」と次の目標を見据えた。
(沖田有吾)