大同火災、減収増益 自賠責の引き下げ影響<決算>


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 大同火災海上保険(那覇市、与儀達樹社長)が31日発表した2022年3月期決算は、売上高に当たる正味収入保険料が前期比1%減の165億6500万円、経常利益は同45・1%増の9億5600万円で3年ぶりの減収増益だった。純利益は同約2・2倍の7億6千万円。自動車の自賠責保険の料率引き下げが減収に影響した一方、台風損害の減少や将来の支払いに備え積み立てる責任準備金の圧縮が増益につながった。

 自賠責保険料が全車種平均で6・7%下がり、減収に響いた。主な保険種目別では自賠責のほか海上や自動車、傷害は減収、火災は増収だった。

 費用に当たる正味支払保険金は、台風被害の減少で前期比9・5%減の69億7700万円。ただ自動車保険の事故受け付けが増加し、支払い見込み分も合わせた実質的な保険金支払額は74億900万円と同4・4%増だった。

 本業の業績を示す保険引受利益は同約60%増の8億6500万円。会計ルールに基づく責任準備金を大幅に積み増した前年の反動減があり、利益を押し上げた。

 損保会社の収支状況を表す指標で、100%を下回れば良好とする「コンバインド・レシオ」は91・1%で、数値目標に掲げる96・5%を下回った。保険金支払い能力など財務の健全性を示す「ソルベンシー・マージン比率」は前期を98・9ポイント上回る844・1%となり、基準となる200%を大きく超えている。

 与儀社長は「一定程度前進を図ることができた。今後の取り組みが重要だ」と語った。23年3月期は正味収入保険料として約170億円、純利益として約3億円を見込む。(當山幸都)