沖縄本島南部を中心に激しい雨が降った31日、糸満市など少なくとも8市町で計47件の道路冠水が発生した。立ち往生した車から運転手らが救出される事例もあった。豊見城市では屋根のごみを片付けていた80代男性が転倒し、顔にすり傷を負った。床下浸水は各地で少なくとも計18件発生。那覇市では塀などの倒壊が3件あった。
糸満市阿波根では正午過ぎ、70代男性が運転する車が冠水した道路に乗り入れた。15分ほどで水位は見る見る上昇し、車体は浮上。エンジンはかからず、車内に閉じ込められた。
道沿いにある建設関係の「池間」(池間秀勝代表)で働く青年ら5~6人が男性に気付き、泳いで車へ向かった。水流に流されそうにもなったという。車内は濁流が流れ込み、男性は胸まで水に漬かっていた。青年らがハンマーでリアガラスをたたき割り、ロープで男性を引っ張り救出した。
「窓やドアは開かなくて『助けてくれ』と声がかれるまで叫んでも聞こえない。『死ぬ』と思った」。男性は手を震わせながら振り返った。救助した男性(28)は「焦っていたが『助けないといけない』と思った」と話した。
西原町のサンエー西原シティ前の国道329号では、道路が冠水し2~3台の車が立ち往生した。2トントラックを運転していた男性(39)=那覇市=は「2時間近く待機させられ、心細かった」と語った。
那覇市楚辺ではスクールゾーンに面した民家の塀が幅5メートルにわたって倒壊し、ブロックが崩れて道をふさいだ。この家に住む男性は「『自分が巻き込まれていたら』と考えるとぞっとする」と話した。 (伊佐尚記まとめ)
【関連記事】