県は5月31日、県内の子どもや保護者の生活実態を調査し、貧困対策の施策に生かす2021年度子ども調査の報告書を公表した。小学5年と中学2年の親子を対象に分析した結果、15年の初調査から改善した2018年調査と比べ、最も所得が低い層の割合が小学5年では1・8ポイント増の28・5%、中学2年では3・3ポイント増で過去最多の29・2%になるなど、初めて悪化した。新型コロナウイルスが家計に深刻な影響を与えており、低所得層ほど収入の落ち込み幅が大きいことも明らかになった。
調査では、世帯の手取り収入を世帯人数の平方根で割った「等価可処分所得」を算出した。困窮程度を低所得層Ⅰ(127万円未満)、低所得層Ⅱ(127~190・5万円未満)、一般層(190・5万以上)と分類した。
その結果、小学5年では低所得層Ⅰが28・5%、低所得層Ⅱが27・0%、中学2年では同Ⅰが29・2%、同Ⅱが24・9%だった。 ひとり親の場合は、低所得層Ⅰの割合が小学5年は68・9%、中学2年は66・4%となっており、ふたり親の2倍以上となっている。
世帯収入をコロナ禍以前の20年2月と比べた質問では、収入が「減った」「全くなくなった」を含めると小5・中2共に、一般層でも約4割おり、低所得層Ⅱは約5割、低所得層Ⅰでは約6割を超えた。経済的に厳しい世帯ほど苦境に立たされている現状が浮き彫りとなった。
調査票は市町村の人口比を基に学校を通して配布された。小5には3331世帯の親子に配布(有効回答数=子ども2387、保護者2386)。中2は3317世帯(同=生徒2494、保護者2496)に配った。調査期間は21年10月8日から25日。(嘉陽拓也)