朽ちゆく戦争遺跡を後世に…壕の測量図や写真、遺品など100点以上を初公開 具志頭農村センター


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 玉泉洞(南城市)を発見した功績がある洞窟の専門家、NPO法人沖縄鍾乳洞協会理事長の山内平三郎さん(74)=八重瀬町=が、沖縄戦時に使われた八重瀬町と糸満市の陣地壕(ごう)や民間壕などの位置を示す地図や測量図、壕内の写真、遺品など100点以上の資料を初公開する。展示会は4~26日の間、八重瀬町の具志頭農村環境改善センターで開催。戦後77年がたち、朽ち果てていく戦争遺跡の記録を後世に残す試みだ。

 愛媛県出身の山内さんは愛媛大探検部の学生時代から洞窟探検に魅せられ、復帰前から玉泉洞などの県内の洞窟調査に従事。復帰直後から県内に移り住み、石垣市の「白保竿根(さおね)田原(たばる)洞穴遺跡」から国内最古となる人骨などを発見してきた。数年前から、平和ガイドの松永光雄さん=八重瀬町=と共に壕を探し、記録する取り組みを始めた。

 今回、糸満市与座の旧日本軍第24師団本部壕といった陣地壕の測量図や、日本兵や住民ら千人余りが潜んだ巨大な自然壕・轟の壕(糸満市伊敷)の全容が分かる地図などを展示する。

 山内さんは「ロシアによるウクライナ侵攻が起きる中、これまで収集してきた資料を通して戦争とはこういうものだという事実を知らしめたい。一般の人が壕に入るのは危険なので、測量図などを残すのは私しかいないと思った」と話した。
 (梅田正覚)

長年収集してきた戦争遺跡の資料を初めて公表する展示会を企画する山内平三郎さん=5月19日、八重瀬町
壕の中で調査をする沖縄鍾乳洞協会の関係者ら=2021年3月、糸満市摩文仁(山内平三郎さん提供)