「ニュース女子」控訴審、高裁も賠償命令 出自差別「招きかねず」番組構成に踏み込む


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】東村高江周辺の米軍ヘリコプター発着場(ヘリパッド)建設への抗議行動を取り上げた番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして、ヘイトスピーチ反対団体の辛淑玉共同代表が制作会社のDHCテレビジョンなどに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(渡部勇次裁判長)は3日、辛共同代表への名誉毀損(きそん)を認めた一審の東京地裁判決を支持し、同社に550万円の支払いと同社ウェブサイトへの謝罪文の掲載を命じた。原告、被告側双方の控訴を棄却した。

名誉毀損 賠償は一審支持

 原告の辛共同代表は、番組で司会を務めたジャーナリスト長谷川幸洋氏に対して「共同不法行為責任を負う」として損害賠償を求めていたが、一審で棄却され控訴していた。長谷川氏は、辛共同代表の同番組に抗議した会見の言動が、自身への名誉毀損に当たるとして反訴していた。

 渡部裁判長は、被告が制作した番組について「原告の名誉を毀損するもの」で「不法行為責任を免れない」とする一審判決を「相当」とし、原告、被告双方の控訴の訴えには「理由がない」と退けた。

 判決は一審判決を支持した上で、原告側が求めていた差別の認定について「在日朝鮮人である一審原告の出自に着目した誹謗(ひぼう)中傷を招きかねない構成になっている」と踏み込むなど、複数の修正や加筆があった。

 判決を受け、辛共同代表は「地上波で(ヘイトを含む内容を)流す暴力性について一審判決に続いて認められた。大きな一歩だ」と述べた。被告のDHCテレビジョンの関係者は「不当判決だ。まだ訴えが認められるチャンスはある」として上告する意向を示した。

【関連記事】

辺野古抗議は「プロ市民」? 沖縄の基地ウソ/ホント

沖縄は「優遇」されているのか?実は国からの予算より納税額が多かった

「沖縄ヘイト」投稿が残るのはなぜ? ツイッター社に聞いてみた 

「沖縄の新聞に中国資金」 米シンクタンクのCSIS報告書に誤り  細谷雄一慶応大教授の発言引用

普天間滑走路、米軍がスーパーボウルに合わせ休止 入試中や夜も飛ぶのに…