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時間外労働の上限規制 残業削減、多くのメリット<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2020年4月より働き方改革関連法案により中小企業を含むほぼ全ての企業に時間外労働の上限規制が適用されました。「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革と定義されています。少子高齢化による労働人口の減少や働くスタイルの多様化などの課題への対応が求められており、働き方改革の主要な取り組みの一つに「残業削減」があります。

 残業の要因として組織の問題、人の問題、企業文化の問題があります。具体的には、組織の問題として仕事が属人化している、仕事量が多い、人手不足。企業文化の問題として残業が当たり前、残業をしがちな社風、会議・打ち合わせが多い。人の問題としてマネジメント不足、業務と能力の不一致、上司の評価を得たい、仕事を分担できない、残業代が欲しいなどがあります。

 残業時間の削減により、生産性の向上、従業員のモチベーション向上、労災によるリスク軽減、企業イメージや社会的信用の向上、離職率改善、従業員の負担軽減、人件費削減など、従業員と企業の双方にメリットがあります。

 長時間労働は、健康の確保や、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成や男性の家庭参加を阻む原因と言われています。長時間労働を見直すことで、ワークライフバランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつくとされています。経営者・管理者が率先して組織の意識改革と長時間労働抑制のため対策を講じてみてはいかがでしょうか。

(沖縄銀行牧港支店支店長 上地文人)