エネルギー消費が実質ゼロの省エネ住宅普及へ りゅうぎん総研がリポートで提言


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)は3日、エネルギー消費量の年間収支が実質ゼロとなる住宅「ZEH(ゼッチ)」に関する調査リポートを発表した。ZEHの要件として(1)高断熱化(2)設備の高効率化による省エネ(3)太陽光発電などによる創エネルギー―の3点が挙げられる中、沖縄では(1)のハードルが低く、(2)と(3)による取り組みが中心となることが確認された。

 断熱基準は、冬季の断熱性能を示す「外皮平均熱環流率」と、夏季の日差しの遮蔽(しゃへい)性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率」に分かれている。省エネ基準が市町村ごとに区分される中で、沖縄は断熱、遮蔽性能ともに全域で条件が緩和された区分となっている。

 緩和の理由として、「外皮平均熱環流率」については、冬季の沖縄の住宅は県外に比べて暖房機器使用などのエネルギー消費量が小さいことが考えられると推測。「冷房期の平均日射熱取得率」については、木造より遮蔽性能が低いRC造が風水害対策として普及している点や、その性能の低さを自然状況に適応した建築ノウハウの蓄積で補っていることも考慮したとみる。

 政府は脱炭素社会の実現へ省エネによる建物分野の対策強化に乗り出している。リポートはZEH普及へ「沖縄の気象条件、社会条件を反映した魅力的な住環境の構築を期待したい」と提言した。
 (小波津智也)