「いつまでこの天気続くのか」農家に死活問題 長引く雨と日照不足で生育不良、所得にも影響


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雨に打たれる露地栽培のヘチマ=6日、南風原町(喜瀬守昭撮影)

 長引く雨と日照不足により、県内では農作物の収穫量や販売価格に影響が出ている。「手塩にかけた野菜が台無しだ」「いつまでこの天気が続くのか」―。農作物の生育不良は農家の所得減に直結する。農家からは、今後の影響の拡大を危惧する声が漏れ聞こえる。

 「こんな被害はなかなかない」。糸満市で野菜やサトウキビを育てる40代男性は畑でオクラの出来を確かめ、ため息をつく。大切に育てたオクラは病気で葉が黄色くなり、根元は腐り始めていた。長雨と日照不足で栄養が十分行き届かず、実の生育も芳しくない。

 春植えのサトウキビも梅雨入り前に肥料を入れて土をかぶせていたが、豪雨で土が流され台無しになった。男性は「今年は所得がだいぶ落ちるだろう。今後どこまで被害が出るのか不安は尽きない」と話した。

 南城市玉城で野菜や花卉(かき)類の大規模農場を営む男性(67)も、収穫期を迎えるキュウリやゴーヤーが日照不足の影響で、小ぶりの傾向だという。大雨の日は畑のそばを通る排水路が氾濫し、畑一面が冠水する被害にも遭った。

 男性は「自然災害は仕方がないが、排水路の氾濫は工事すれば防げる問題だ」と指摘。万一に備え農業経営のための「収入保険」に入っているが、多くの農家にとって掛け捨ての保険は「ハードルが高い」と感じている。「営農できるように、県やJAには入りやすい保険制度を作ってほしい」と要望した。

 一方、流通面でも影響が出ている。県内スーパー最大手のサンエーでは、カラシナやチンゲンサイなど葉野菜の入荷量が例年の6割程度しかなく、販売価格は昨年の1.5倍となっている。担当者によると、露地栽培とハウス栽培の双方で生育不良が目立ち、流通量と価格が回復するのは7月上旬になる見込みだという。

 タウンプラザかねひででも葉野菜を中心に品薄で、「品質も若干劣るものがある」(担当者)という。状況が落ち着くまでは県外産の商品で補う方針だ。
 (当銘千絵)