福島と沖縄「ひめゆり学徒隊」通してつながり 県出身の「復帰っ子」が映画上映会に込めた思い


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 那覇市首里出身で福島県田村市在住の農業・稲福和之さん(50)と妻の由梨さん(37)夫妻が主催したドキュメンタリー映画「ひめゆり」(柴田昌平監督)の上映会が5月14日、田村市役所ホールで開かれた。

柴田監督(左)、稲福さんのトークライブ(提供)

 復帰の年に生まれた和之さんが復帰50周年で企画した上映会と柴田監督とのトークライブを行い、70人の市民が参加した。

 「ひめゆり学徒隊」の真実に迫った映画のエンディングに流れる「別れの曲」は、沖縄戦に召集された福島県立郡山商業高校卒業生の大田博さん(元陸軍少尉)が作詞したもので、当時卒業式を控えていた女学生たちのために作詞して贈った曲だ。

 主催者の和之さんは「復帰50年が経っても沖縄は喜べる状況じゃないが、沖縄返還の節目に、自分にできることをやりたくて企画した。福島とひめゆり学徒隊がつながっていたこともあり、福島で上映できて本当に良かった」と思いを語った。

(前列左から)稲福和之さん、柴田昌平監督と(2列目中央)稲福由梨さん(提供)

 妻で福島出身の由梨さんは「ひめゆり学徒隊の方々のことを思うと涙がこみあげてきた。沖縄戦でのつらい体験と、その記憶や心の傷を抱えて人生を歩んできた生存者の言葉が、心に深く残った」と感想を話した。

(喜納高宏通信員)