「幻のコットン」世界3カ所目の生産地に 最高級綿を試験栽培 東・大宜味で5年後に商業化


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試験栽培中の「シーアイランドコットン」の苗と、栽培の様子を視察する関係者ら=17日、東村

 【東・大宜味】食品関連開発・販売のフードリボン(大宜味村、宇田悦子社長)とシーアイランドクラブ(東京都、西本享由社長)は、東村と大宜味村でシーアイランドコットン(海島綿)の試験栽培に取り組んでいる。海島綿は栽培条件が厳しく、カリブ海とアメリカだけで栽培されてきた綿の最高級品。世界3カ所目の生産地を目指し、5年後をめどに商業栽培に挑む。

 海島綿はシルクのような滑らかな肌触りと光沢が特徴。世界の綿生産量のうち、わずか0・01%という希少性から「幻のコットン」とも呼ばれる。栽培には昼間の気温が28~30度、年間日照時間が3千時間などの環境が適するとされる。

ジャマイカの畑になったシーアイランドコットン(シーアイランドクラブ提供)

 フードリボンはパイナップルの葉などを活用した繊維生産を手掛ける。カリブ海で海島綿を17年間自社栽培した実績があるシーアイランドクラブが、フードリボンの事業に興味を持ち栽培を打診した。沖縄の気候にも可能性を感じたという。

 両社は3月に試験栽培の契約を締結。東村と大宜味村の2カ所に計約5ヘクタールの用地を確保し4月から栽培を始めた。8月~9月に収穫予定だ。17日は県内外からアパレルや商社などの関係者が訪れ、苗が植えられた東村の畑を視察した。

 宇田社長は「海島綿とパイナップル繊維を組み合わせ、タオルやかりゆしウエアといった名産品を作りたい。環境に配慮した持続可能な沖縄の綿産業を目指す」と意気込んだ。西本社長は「気温や日照条件は心配ないが、収穫期の台風をどう乗り越えるかが課題だ」としつつ「コストを下げ、メイドイン沖縄の良い製品を多くの人に使ってほしい」と話した。 (岩切美穂)