津嘉山正種さんの一人朗読劇「戦世を語る」が18日、那覇市のタイムスホールで県内初上演された。「戦世を語る」は、沖縄戦を次代に語り継ぐことを願い、津嘉山さんが沖縄戦体験者の証言などを元に、悲惨な戦争の実態を描き出した作品。1991年に東京で初演して以来、31年ぶりの上演。公演は19日午後2時と20日午後7時もある。
冒頭で観客は、空襲や無数の艦砲射撃が行われた沖縄戦の音(砲弾の爆発音)を体験。ずしりと響く音圧とともに戦下の人々を覆った重苦しい空気に思いを巡らせた。兵隊に子を殺された母親や、「集団自決」(強制集団死)に追い込まれた父親、当時を振り返る軍人などの証言が、津嘉山さんの母の体験談も交え語られる。飾らない言葉が、戦争の恐怖とむごたらしさを際立たせ、観客の胸に迫った。
観劇した19歳の女性は「砲弾の爆発音から、リアルな戦争の風景を想像させられた。自分や家族が同じ状況になったら、悲しくて頭がおかしくなってしまうだろう。慰霊の日は、平和の礎に手を合わせに行こうと思った」と話した。
(藤村謙吾)