「発電ガラス」でモデルハウス 壁面でも太陽光発電 省エネ、脱炭素化の「切り札」に


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ガラス発電モデルハウスを活用して、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化に向けたガラス発電をPRすると話す沖縄CO2削減推進協議会の瑞慶覧長臣代表理事(中央)ら=16日、南城市玉城前川

 沖縄CO2削減推進協議会に加盟するモリベニ(那覇市、朱蘇建代表)は、南城市玉城前川に太陽光発電の素子を組み込んだ複層ガラスを用いた「ガラス発電モデルハウス」を完成させた。同協議会によると、同様の取り組みは全国でも初とみられるという。同協議会では、建物のエネルギー収支をゼロとする「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」化促進に向けて、発電ガラスを「切り札」と位置付け、普及のためにモデルハウスを活用していく。

 ZEBは、業務用ビルなどの建物で、快適な室内環境を実現しながら、省エネによるエネルギー消費の削減と再生可能エネルギーの発電により、一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指した建築物。世界的な脱炭素化の流れの中で、今後ZEB化の重要性はさらに高まると予想される。

 モデルハウスでは、遮熱性と断熱性に優れた複層ガラスに薄型の太陽光発電の素子を内蔵した中国製の「Low―E複層ガラス」を天井と壁に使っている。天井は透過率0%、壁は同40%のガラスを用いて、太陽光発電容量は2.6キロワット。ハウス内部にあるエアコンや冷蔵庫、照明などの消費電力をまかなえる。

 ガラスには木目などの模様をペイントすることもできる。朱代表は、電気料金が高騰している現状を踏まえ「環境への配慮とコストの両面でとても良い。遮熱、断熱効果もある」と話した。

 同協議会では、現在県内外の8カ所の建物についてZEB化を進めている。瑞慶覧長臣代表理事は「都心部のビルは、屋上に太陽光発電パネルを置くだけではZEBの達成は厳しい。壁面を含めて活用していくことが重要となる。モデルハウスを訪れてZEBについてのイメージを持ってほしい」と話した。

 問い合わせは同協議会(電話)098(988)6301。
 (沖田有吾、写真も)