【東京】岸田文雄首相は23日、来県し、沖縄全戦没者追悼式に参列する。首相の参列は2019年以来、3年ぶりとなる。歴代首相はあいさつで在沖米軍基地の整理・縮小や基地負担軽減に向けた決意を述べてきた。その言葉とは裏腹に基地の縮小は進まず、国内にある米軍専用施設の70・3%(1月現在)が沖縄に集中しているのが実情だ。さらに政府は名護市辺野古の新基地建設も強行している。
政府が進めてきた基地負担軽減策は一部を除いて移設条件付きで、日米が合意済みの統合計画を全て実現したとしても、在沖米軍専用施設の全国比は約69%にしか減らない。
歴代首相のうち、初めて追悼式に参列したのは1990年当時首相だった海部俊樹氏。2000年以降はほぼ毎年、首相が追悼式に参列してきたが、20年と21年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でビデオメッセージでの式辞となっていた。
式辞で基地負担軽減に初めて言及したのは、00年に参列した森喜朗氏。その後の首相は毎年、沖縄の基地負担軽減を目指す旨を盛り込んでいる。17年から21年までは、北部訓練場の部分返還やキャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区の跡地利用など政府の「成果」を強調する傾向が強まっていた。
岸田氏は21日の党首討論会で沖縄の基地負担軽減策が「不十分」と認めながらも、大幅に方針を転換する考えを否定している。「聞く力」を掲げるが、実際の政策は従来の方針と変わらない。岸田氏がどのような言葉を発するか注視される。
(明真南斗)