「遺族の声、なぜ聞かない」激戦地の土砂採掘 県容認にガマフヤー具志堅さんら怒りに声震え


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沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある土砂の採掘を巡り、24日午前に開かれた緊急集会で合意案を受け入れないよう訴える具志堅隆松さん=那覇市の県民広場

 「当事者である遺族の声をなぜ聞かないのか」。沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある土砂の採掘計画を巡り、総務省の公害等調整委員会(公調委)の裁定委員会が提示した事業者との合意案を県が受け入れたことに対して、沖縄戦戦没者遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんは怒りに声を震わせた。遺族からも「人としてどうなのか。あり得ない」と非難する声が上がった。

 具志堅さんらは遺骨土砂採掘が問題になった当初から、遺族からの意見聴取を訴えてきた。しかし、県は合意案受け入れの決定過程で、遺族の意見聴取自体を議論したことはない。

 それ以上に嘆くのは、遺骨土砂を採掘する行為そのものだ。「『戦没者の遺骨が混じる土砂を金のために売った』と次世代に問われたらどう答えるのか。ウチナーンチュの名誉の問題だ。事業者も県民も道義的な責任を考えてほしい」と訴える。

 防衛省は辺野古新基地建設で本島南部の土砂使用を計画する。「県と一事業者の合意が拡大解釈され、遺骨土砂使用の契機にならないか。(阻止へ)絶対に諦めない」と強調した。

 戦没者遺族の一人、祖慶真行さん(67)=那覇市=は、沖縄戦で母方の祖父母と叔父3人を失ったが、5人の遺骨はひとかけらも戻ってきていない。「戦後77年、弔われることもなく野ざらしにされてきた。そんな遺骨土砂を戦争をするための基地に使うのは許されない、あり得ない」と語気を強めた。

(安里周悟)

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