那覇市得票が選挙戦制す 全県とのねじれ3例のみ 無党派層の取り込み必須<ありんくりん参院選>


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 参院選沖縄選挙区は、県知事選と同様に全市町村の得票数の合計で争う全県選挙だ。全県選挙において、選挙関係者が最重要視するのが県都・那覇市での得票だ。「那覇を制する者が選挙を制す」というのは、保守・革新問わず“通説”として語られる。

 本当に、那覇を制した候補者が、当選してきたのか? これまで補選を合わせて県内で20回実施された参院選を振り返ると、那覇で最も多く得票した候補者が落選した例は3例にとどまる。“通説”は大部分事実と言え、那覇市での勢いは選挙戦を占う一種の指標となりそうだ。

 那覇で最も得票数が多かった候補者が落選したのは1971年、86年、95年の3回。那覇での最多得票者が選挙戦を勝ち抜く構図は25年以上続いており、近年の参院選では那覇での勝利は必須条件とも位置付けられる。

 2019年前回選では当選した高良鉄美氏が那覇で7万1798票を獲得し次点候補に約2万2千票の差を付けた。全県での得票差は約6万4千票で、その35%を那覇で稼いだ形となった。

 今年6月21日現在の在外選挙人を除いた県内の選挙人名簿登録者数は117万9408人。そのうち那覇市は25万9058人に上り、全体の22%を占め、次に有権者が多い沖縄市(11万2976人)の2倍超となっている。全体に占める有権者の割合の高さから、那覇の得票数が結果を左右するのはある意味当然とも言える。

 有権者数の多さに加えて、各陣営が那覇を重要視する理由がある。那覇市は他の地域よりも無党派層が多いとされるためだ。

 全県規模で見た場合、保守、革新双方ともに20万超の、いわゆる「岩盤支持層」の票を持っているとされる。投票率を近年の参院選の傾向から50%台と設定した場合、当選ラインはおおよそ30万前後となる。

 当選ラインに乗せるための数万の票を上乗せするには、無党派層からの支持を集めることが必須だ。そこで、大票田でもあり、無党派層も多い那覇での浸透に焦点が当たるというわけだ。

 22日に公示し、本格的な選挙戦に突入した今回の参院選。各候補者は県内各地を奔走し、支持を訴えている。一方で7月10日投開票の選挙戦が最終盤に迫るにつれ、各陣営とも那覇での選挙活動を強化する見通しだ。 (’22参院選取材班)

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