―改正沖縄振興特別措置法が施行された。今後の沖縄振興の方向性は。
「これまでの50年間で社会資本整備は進んだ。今後は県民の暮らしに直結するソフト面の対策が必要だ。付加価値向上による農業、観光、ITなど各種産業の強化や人材育成。こういう部分に振興の力点を置いていくことになる」
「教育も避けて通れない課題だ。開学10年を迎えた沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、研究分野で確実に成果を上げている。ただ、県経済への波及効果の部分では、県民がメリットを実感できていない面がある。今後は産業面への展開により注力が必要だ」
―振興予算は減額が続いている。
「社会資本整備が進んだ影響もある。3千億円台が続いた過去10年は那覇空港第二滑走路という大きなプロジェクトがあった。ニーズ重視で考えれば、金額が多ければいいということにはならない。浦添市の牧港補給地区(キャンプ・キンザー)など返還される基地跡地の計画が具体化してくれば予算も変動するだろう」
―多くの県民が鉄軌道を望んでいる。
「プロジェクトの熟度を上げることが大事だ。まずは県内で合意形成が図られた計画を作ること。返還される基地跡地を絡めれば展望が開けるかもしれない」
―普天間飛行場の辺野古移設の見直しは。
「日米両政府間で議論を積み重ねてきており、現状の最善策だという点は変わらない。費用面など、さまざまな課題はあるが、それ以外に解決策を見出せない中で、できるだけ多くの方の賛同を得ながら工事を進めていきたい」
―沖縄での防衛強化の動きが顕著だ。
「安全保障は外交力だけでは不十分だ。国際情勢に合わせて自衛力の整備は必要だ。政権与党としては、現在、最低限の防衛力は構築できているが、国際情勢によって増減させる必要があるという立場だ」
(’22参院選取材班)
日本復帰50年の節目を迎えた沖縄では、改正沖縄振興特別措置法が施行され、新たな振興計画が始動した。一方で、「子どもの貧困」や「県民所得の低迷」などの課題が残り、重い基地負担も県民の暮らしにのしかかる。参院選を前に、主要政党幹部に沖縄が抱える諸問題への取り組みを聞いた。
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