台風に巻き上げられて沖縄へ? 国内未確認のコウモリ「クロヒゲツームコウモリ」を捕獲 琉球大の構内


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指と足を使って天井にぶら下がるクロヒゲツームコウモリ(小林峻さん提供)
救護、捕獲されたクロヒゲツームコウモリ=2021年11月10日、琉球大構内(小林峻さん提供)

 日本で生息が確認されていない小型のコウモリの一種、クロヒゲツームコウモリが沖縄で初めて捕獲されていたことを、琉球大理学部助教の小林峻さんらの研究チームが6月30日に発表した。論文が日本哺乳類学会英文誌の電子版に掲載された。一般的なコウモリが2本の足でぶら下がるのに対して、クロヒゲツームコウモリは2本の指も使って天井や壁面にぶら下がるのが特徴の一つだ。

 捕獲された個体は成獣の雌1匹で、体長7.7センチ、羽を広げると約30センチ。2021年11月10日、琉球大構内で弱っているところを救護、捕獲された。

 東南アジアからインドにかけて生息しているが、台湾から日本にかけては確認されていない。数十から数百匹、多い場合は千匹を超える群れを作って洞窟や廃虚などにすみ、ガや蚊、ハエなどを食べる。

 小林さんは、1匹しか捕獲されていないこと、これまで群れが発見されていないことから、この個体が沖縄で繁殖、定着していたものではない可能性が大きいとした。

 沖縄への経路については、数百キロ飛ぶ能力があることを踏まえ、生息域での台風などに巻き上げられて飛来したか、国外からの貨物に紛れ込んでいた可能性があるとした。

 小林さんは沖縄での生息、経路などの詳細な調査が必要であると指摘し、目撃情報の提供を呼び掛けた。情報提供は小林さんの電子メールkobashun@sci.u-ryukyu.ac.jpまで。
 (安里周悟)

琉球大理学部助教の小林峻さん

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