住民「安全が脅かされている状況」 米軍キャンプ・ハンセン、発見後も演習音が響く 金武町伊芸区に「銃弾」


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銃弾のような物が被弾したとみられる民家を調べる県警の捜査員ら=7日午後5時45分ごろ、金武町伊芸(高辻浩之撮影)

 【金武】米軍キャンプ・ハンセンに隣接する金武町伊芸区で7日、銃弾のような物が民家で発見された。過去にも流弾事件がたびたび発生している同区。演習場から響くけたたましい銃撃音の中で生活する住民からは「いつまで基地に脅かされるのか」「またうやむやにされるのではないか」と悲痛な声が上がった。

 「ダダダダ」―。金武町伊芸区の民家の勝手口のガラスが割れ、銃弾のような物が見つかった7日、発見現場の住宅街で、区民の不安をよそに午後9時過ぎまで米軍の実弾演習のけたたましい音が響いた。住民からは「流弾かもしれない。安全が脅かされている状況が許せない」と憤りの声が上がった。

 現場は戸建ての住宅が並び、近くには田んぼも広がる住宅地。「銃弾」発見の情報を受け、報道のヘリコプターが旋回したほか、報道各社が集まり、緊迫感が高まった。

 騒ぎを聞いて次々に周辺住民も駆け付け、一帯は騒然となった。県警が張った規制線の前で、近隣住民や部活動の帰り道とみられる子どもたちなどが不安そうにブルーシートに覆われた現場の住宅を見つめた。

 「あそこで音がしてるさ」。自宅前で孫娘の手を引いていた60代女性は、マスコミが詰め掛けた騒ぎに驚く孫娘に、演習場の方角を指さした。

 現場に駆け付けた国会議員らに説明を求められた沖縄防衛局の幹部は「現在情報収集中だ。確たることは申し上げられない」と多くを語ろうとしなかった。県の職員も規制線の外側から様子をうかがっていた。

 午後9時過ぎまで行われた実弾訓練に、74歳の男性は「いつもこの時間にやっているが、こんなことがあった日にも演習をやるなんて異常だ。県や国は抗議してほしい」と憤りを隠さなかった。「抗議集会をいくらやっても変わらないのだろうか」とため息をついた

 伊芸区の安富祖稔区長は「詳細は分からないが、区民の安全が脅かされる状況に憤慨している。防衛局などには機会あるごとに対策を求めていた。米軍の物だとすれば、抗議なども含め今後の対応を検討したい」と語気を強めた。
 (岩切美穂、長嶺晃太朗、増田健太)


沖縄・金武の民家に流弾か、窓破損 米軍ハンセン隣接 演習通告中