【深掘り】「どこから飛んできたのか」 過去に米軍の流弾事件が頻発 金武・伊芸区に「銃弾」


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銃弾らしき物が見つかった現場付近で警戒する警察官=7日午後7時24分、金武町伊芸(ジャン松元撮影)

 金武町伊芸区で7日、銃弾のような物が見つかり、県などは現場に職員を急派するなど、慌ただしく情報収集に追われた。同区では米軍の流弾事件が頻発し、過去には流弾によって、住民らが重傷を負う事件が起こっている。住民からは「またか」と憤りの声が上がったが、同日夜も現場付近では「パタパタパタ」と甲高い米軍の射撃音が響いていた。

 7日はくしくも、参院選の「三日攻防」に突入した日と重なった。国政野党の国会議員でつくる「うりずんの会」は同日夜に現場周辺で抗議会見を開き「断じて許せない。糾弾し強く抗議する」(新垣邦男氏)と強調するなど、政府への追及姿勢を強めた。県警は8日以降に本格的な鑑識作業を進め、銃弾のような物について詳しい捜査を進める方針。鑑識結果によっては、選挙戦最終盤の戦い方に、影響を与える可能性もはらむ。

■事実確認迫る

 「窓ガラスが割れて、弾のような物が落ちている」。7日午後1時45分、金武町役場に伊芸区民から一報が入った。町企画部の担当職員が現場に急行し、割れた窓ガラスと銃弾らしき物を確認した。役場職員から報告を受けた仲間一町長は沖縄防衛局幹部に「真っ先に事実確認を急いでくれ」と直接強い口調で迫った。

 レンジ4に建設された都市型戦闘訓練施設での演習中止を求め、金武町では2004年に大規模な町民大会が開かれた。それにも関わらず米軍は05年7月にレンジ4の都市型戦闘訓練で実弾射撃訓練を強行。超党派による県民大会に発展した。仲間氏は「日米合同委員会でレンジ4での実弾演習は実施しないと決まったはずだ」と指摘。「銃弾ならば、どこから飛んできたのか。住民生活に関わる重大な問題だ」と語気を強めた。

■「沖縄の現実」

 現場に駆け付けた与党県議は「状況から米軍の演習から飛んできた可能性が高いだろう。部屋の中に人がいたらと思うとぞっとする。周りは住宅地で子どもたちも歩く場所。危機一髪の状況だ」と怒りを込める。「数年ごとにこのようなことが起こっている。沖縄の現実だ」と語った。

 県は県警の捜査や沖縄防衛局の情報を踏まえた上で対応策を検討する構えで、県の嘉数登知事公室長は「最悪の事態を避けられたが、一歩間違えば大変なことになる」と強調。8日には県議会一般質問もあり、事案についての質疑も繰り広げられる見通しだ。
 (松堂秀樹、武井悠、比嘉璃子)


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