【記者解説】防衛局の「私人化」を追認 係争委の県申し出却下が示す意味とは


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 国地方係争処理委員会が県の審査申し出を却下したことは、沖縄防衛局が「私人」として行政不服審査法に基づいて審査請求し、国土交通相が県の設計変更不承認を取り消した判断を追認したことになる。実質審議に入らずに県の申し出を退けたことは、係争委が地方への国の関与について違法性を判断する役割を放棄したことも示している。

 今回の係争委決定は、県の不承認処分を取り消した国交相の裁決を「無効ではない」と判断した。行政不服審査法は行政機関の判断に対し、私人が不服を申し立てる構図が想定され、国の機関による利用は専門家などからの批判が根強い。係争委は8月8日となっていた審査期限を約1カ月残して門前払いした。審議が尽くされたのか疑問は残る。

 国の機関による行政不服審査法の利用が認められるのであれば、自治体の決定を国の一存で無効にできることになる。今回の係争委の対応は、辺野古新基地建設を巡る国と県の係争にとどまらず、対等とされる国と地方自治体の関係性を破壊しかねない判断だ。

 国が決定したことに対して、地方は唯々諾々と従うしかない体制が生まれかねない。そうした懸念を内包したまま、県の申し出を却下した係争委の判断に対しては、沖縄県のみならず、全国の自治体が異議を申し立てるべきだ。
 (塚崎昇平)

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