指示と取り消しで対立 辺野古設計変更めぐる国と県 是正指示巡り21日に意見陳述 係争処理委員会


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 名護市辺野古の新基地建設を巡り、国と地方間を調停する国地方係争処理委員会では、軟弱地盤改良工事に伴う設計変更を県が不承認とした処分を取り消した国土交通相の裁決や、承認を求めた是正指示を巡って審査が続いてきた。今回、係争委が県の審査申し出を却下したことで、県と国の攻防は法廷闘争に移行する公算が大きくなった。係争委は12日、是正指示の申し出について、21日に会合を開き、県、国交相の双方に意見陳述を求める方針も決めた。

 係争委の判断を不服とする県は、訴訟提起の検討に入るが、提訴は30日以内にしなければならず、8月中旬には期限を迎える。「裁決」そのものに対しては直接裁判所に取り消しを求める「抗告訴訟」も可能で、こちらは10月中旬が期限となる。県は9月11日投開票の知事選などの政治日程もにらみつつ、今後検討に入る見通しだ。

 一方、国交相が県に設計変更を承認するよう求めた是正指示について、係争委は実質審査に入っている。県は国が設計変更承認を迫る際、行政不服審査法に基づく取り消しと、地方自治法に基づく是正指示を併用している点を「不当な連結」などと批判している。国は国交相の指示を「法適用の適性確保の見地から、勧告をへて実施した」と正当性を強調する。

 指示に対する係争委審査では、21日に県と国、双方の意見陳述がある。玉城デニー知事は12日、自身の出席については「調整する」としつつも「基地建設が県民に対して新たな、大きな負担になることは間違いない。そうしたことも意見に盛り込みたい」と強調した。
 (塚崎昇平)