防衛局、ヤドカリ移動を県に申請 辺野古本格着工にらみ


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 名護市辺野古の新基地建設に向けた工事で、沖縄防衛局が国指定天然記念物オカヤドカリ類の捕獲・移動の同意を求める文書を、県教育委員会宛てに提出していたことが15日までに分かった。文化財保護法で県教委は意見を付し、同意の最終判断をする文化庁長官に書類を送る義務があり、事務局の県教育庁文化財課は調整を続けている。

 同課によると防衛局は9月14日に文書を提出した。図面などの必要書類が整っておらず、再提出を求め10月初めにそろったという。10月15日に各教育委員に通知した。次回の教委の会議は22日に開かれる予定。教育庁の諸見里明教育長は「いろいろな状況を加味し、教委の意見を聞きながらやっていく」と話した。
 文化財保護法は、国の機関が天然記念物の現状変更と保存に影響を及ぼす場合、地元の教委を経由して文化庁長官の同意を求めることを定めている。教委は話し合いの後、専門家にも諮って意見をまとめ、文書を文化庁に送る。
 防衛局は改変区域のオカヤドカリ類について、環境影響評価書に対する知事意見への見解で「周辺の生息に適した海岸への移動により個体の保全を図る」と説明していた。前知事の埋め立て承認の留意事項で設置した環境監視等委員会の6月の会合では、オカヤドカリ類を含む陸域や海域生物の保全措置について意見が求められた。
 防衛局が県に提出した公有水面埋め立て承認願書で添付した環境保全図書の中では、オカヤドカリ類は代替施設本体と作業ヤード建設予定地の2008年度の調査で1189匹の繁殖個体が確認されていた。